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損切り幅とポジションサイズの決め方:1回で失う金額から

失ってもよい金額を先に決め、損切りの位置から数量を逆算する方法です。計算例、R倍数での記録、レバレッジが損失額を変えない理由、連敗の算数まで見ます。

📚 チャート分析をはじめから正しく · 32/52· ⏱ 読了目安 5分 ·情報更新 2026-10-07
📋 基本情報4
順序
失う金額、損切りの位置、数量の順に決める
計算
数量 = 許容する損失 ÷(エントリー価格 − 損切り価格)
レバレッジ
数量が同じなら損失は同じで、清算価格が近づくだけ
注意
1%はよく挙げられる例にすぎず、勧める比率ではない

順序を逆にして決める

多くの人は「いくら分買うか」から決め、損切りはあとで考えます。リスク管理でよく使われる順序はその逆です。まず今回の取引で失ってもよい金額を決め、次にチャートで「ここまで来たら判断が間違っていた」とみなす損切りの位置を決め、最後にその2つから数量を計算します。こうすれば、損切り幅が広くても狭くても、損切りになったときに失う金額はあらかじめ決めた値と同じになります。順序を逆にする理由は感情にあります。数量を先に決めると、損切りの位置をその数量が耐えられる所へ引き寄せてしまい、チャート上では何の意味もない所に損切りを置いたり、損切りそのものを先延ばしにしたりします。反対に、損切りの位置をチャートで先に見つけて数量をそれに合わせれば、損切りは「判断が間違っていた」という印としての意味を保ち、金額は計画どおりに収まります。よくある錯覚は、確信が大きいほど大きく買うというものですが、確信の大きさは損切りの位置も、間違えたときの損失も変えません。

  • ① 1回で失ってもよい金額
  • ② 損切りの位置(チャートの構造やボラティリティで)
  • ③ 数量 = ① ÷(エントリー価格 − 損切り価格)

計算例:残高100万円

残高が100万円で、1回に残高の1%まで失うと決めたなら、許容する損失は1万円です。1%はよく挙げられる例にすぎず、勧める比率ではありません。図のように100円でエントリーして95円で損切りするなら、1個あたりのリスクは5円なので、数量は1万 ÷ 5 = 2,000個、ポジションの金額は20万円です。損切りを90円に置くなら、1個あたりのリスクが10円なので数量は1,000個、ポジションは10万円に減ります。損切りが遠いほどポジションが小さくなる仕組みです。ここでは、ポジションの金額とリスクの金額を取り違えないことが大切です。20万円分買ったからといって20万円を賭けているのではなく、損切りが守られる前提で賭けているのは1万円です。反対に、損切りがとても近いと、計算した数量が残高で買える量を超えることがあります。現物なら数量は残高に縛られるので、このとき実際のリスクは計画より小さくなります。

+2R 110+1R 105エントリー100区間安値損切り95
例: エントリー100、損切りはこの区間で最も低い安値(96.2)の下の95です。1単位あたりのリスク(1R)は5で、目標の105は +1R、110は +2R です。数量は、許容する損失額を5で割って決めます。

損切りの位置:構造かボラティリティか

損切りの位置を決める方法は、大きく2つです。1つは構造で、上昇を見込んだエントリーなら、直前のスイング安値の下のように、その価格を割れば見込みの根拠がなくなる位置に置きます。もう1つはボラティリティで、エントリー価格から ATR(アベレージ・トゥルー・レンジ、足1本がふだん動く幅)の何倍か離れた所に置きます。ふだんの揺れより狭く置くと、意味のない揺れにもかかりやすくなります。ATR の2〜3倍を使う例がよく見られますが、これも例であり、詳しくは ATR の記事にあります。ATR で作ったスーパートレンドの線に沿って損切りを引き上げていく方法も、同じ考え方です。構造による損切りが機能するのは、多くの参加者が同じ安値を見ているからです。その下を割ると損切り注文が一斉に出て動きが大きくなることが多いので、安値のすぐ下より少し余裕を持たせる人が多くいます。2つの方法を一緒に使うこともよくあります。構造上の位置を先に見つけ、その距離が ATR の何倍かを測って、近すぎないか遠すぎないかを確かめます。

R倍数:損益をリスク単位で書く

R は、1回の取引で最初に決めたリスク金額を1とした単位です。上の例では 1R は1万円(価格では5円)なので、105円で売れば +1R、110円で売れば +2R、損切りになれば −1R です。結果を R で記録しておけば、金額の違う取引どうしを比べられ、ルール全体の期待値も数えられます。たとえば勝率40%で、勝つときの平均が +2R、負けるときが −1R なら、1取引あたりの期待値は 0.4 × 2 − 0.6 × 1 = +0.2R です。ただし、目標を遠くに置くほど届く割合が下がるように、勝率と損益比は互いに絡み合っているので、片方だけ変えて計算すると間違えます。R での記録は、損切りが守られたかどうかも明らかにします。−1R より大きい損失がよく見られるなら、損切りを先延ばしにしているか、スリッページが大きいということです。目標を決めるときも R で考えれば、「損切りまで5円なのに目標は3円上」のように損益比が1より小さい計画がすぐ目につきます。

レバレッジは損失額を変えない

同じ数量を同じ損切り価格で決済すれば、損失額はレバレッジに関係なく同じです。20万円分のポジションを2倍で持てば証拠金は10万円、10倍なら2万円が必要になるだけで、95円で損切りになれば、どちらも1万円を失います。レバレッジが変えるのは、必要な証拠金と清算価格までの距離です。分離マージンのロングの清算価格はおおよそ エントリー価格 ×(1 − 1/レバレッジ + 維持証拠金率)なので、維持証拠金率0.4%の区分で25倍なら、エントリー価格より約3.6%下です。5%下に置いた損切りより先に清算が来ます。先物の清算価格計算機で、どちらが先に届くかを確かめられます。よくある錯覚は、レバレッジを上げること自体がリスクだと考えることです。正確には、同じ証拠金でより大きな数量を持てるようになり、その大きくなった数量がリスクを大きくします。リスク金額から数量を計算したなら、レバレッジは証拠金をどれだけ拘束するかの問題として残り、残る確認は清算価格が損切り価格より遠くにあるかどうかです。

連敗の算数

勝率が50%でも、損失は均等に混ざって来るわけではありません。取引をコイントスに単純化して計算すると、10回のうち5回以上続けて負ける確率は約11%、100回のうちなら約81%です。長く取引すれば、5連敗のような連続した損失を一度は経験する可能性が高いということです。このとき、1回に賭けるリスクの大きさが差を生みます。毎回残高の一定の割合を失いながら10回続けて負けると、残る残高は下のとおりです。約60%から元に戻るには約67%、約35%からは約187%を稼がなければなりません。連敗が怖いのは、数字より行動のせいです。何回か続けて負けると、損失を早く取り戻そうとリスクを大きくしたり、ルールを変えたりすることがよくあり、そうなると上のリストよりずっと早く残高が減ります。そのため、連敗が何回か続いたら取引をしばらく休むというルールを前もって決めておく人もいます。

  • 1%ずつ:約90.4%
  • 2%ずつ:約81.7%
  • 5%ずつ:約59.9%
  • 10%ずつ:約34.9%

実際の損失は計画より大きくなることがある

計算した損失は、損切り価格ちょうどで約定するという仮定の上に成り立っています。実際にはエントリーと決済の手数料が加わり、価格が急に動くと、損切り注文が損切り価格より不利に約定するスリッページが生じます。暗号資産は24時間取引されますが、大量の清算が集中するときは短い時間で板が薄くなり、大きく滑ることがあります。そのため許容する損失を決めるとき、こうした差を余裕として残しておくやり方が使われます。バックテストでも同じコストを入れてはじめて、計画と結果が合います(バックテストの記事を参照)。確かめることは3つです。計算した −1R に往復の手数料を足したか、その資産の出来高が自分の数量に対して十分か、損切り価格がほかの人の損切りが集まっていそうな位置かどうかです。取引の少ない銘柄では、小さな数量でも板が何段も滑ることがあります。成行の損切りはスリッページが大きくなることがあり、指値の損切りは価格が飛ぶとまったく約定しないこともある、という違いも知っておきます。

この記事が言っていないこと

この記事は、失う金額が決まったときに数量を計算する方法であって、いくら賭けるべきかについての助言ではありません。1%、ATR の2〜3倍、+2R といった数字は、計算を示すために挙げた例です。適切な大きさは、そのお金が生活に必要なお金かどうか、損失にどれだけ耐えられるかによって人それぞれです。レバレッジと清算が損失をどう大きくするかは、暗号資産のテーマにある「借りたお金で取引するときに起きること」の記事に別にまとめました。数字を決めるときは、上の連敗のリストのように悪い場合を先に計算してみて、その結果を受け入れられるかを考えるやり方がよく使われます。同じ1%でも、残高全体が投資に使うお金なのか、その一部だけを取引用に分けておいたお金なのかによって意味が変わる点も考えてみる価値があります。取引の途中や損失の直後に数字を変えると、計算そのものが意味を失います。

暗号資産と株式で違って見える点

同じ式を使っても、「損切り価格で約定する」という仮定が崩れる形は市場ごとに違います。暗号資産は24時間取引されるので損切り注文が夜の間も働きますが、株式は立会時間の外で出たニュースが翌日の始値にまとめて織り込まれます。サムスン電子やSKハイニックスのような大型株でも、決算発表のあとには損切り価格よりかなり下から始まることがあり、そうなると損失は −1R を超えます。米国株には時間外取引がありますが、取引が薄いので、通常取引の始値で窓が開くことはよくあります。韓国株には1日の値幅制限(±30%)があり、ストップ安に張り付くとその日に売れないこともありますが、暗号資産と米国株にはこうした銘柄ごとの値幅制限がありません。ボラティリティも違います。価格に対する ATR が大きい資産ほど、同じ ATR の倍数の損切りが価格では遠くなり、そのぶん数量は小さくなります。レバレッジの仕組みも違い、暗号資産の先物は数十倍まで可能な一方、株式の信用取引は倍率が低い代わりに、担保が足りなくなると強制的に決済されるルールが別にあります。韓国株は1株単位で買う必要があるので、計算した数量を小数点まで合わせられない点も違います。

実践の確認手順

注文を出す前に下の順に確かめると、計算がその場の気分に押し流されることが減ります。リアルタイムのチャートで損切りの位置を決めるときは、進行中の足に気をつけます。まだ確定していない足の安値はさらに下がることがあるので、その安値を基準に損切りを置くと、数分後にはもう意味のない位置になっていることがあります。ATR も進行中の足が含まれると値が揺れるので、確定した足の値で計算するほうが一貫します。注文の前にリスク金額・損切り価格・数量を1行で書いておけば、約定後の結果をすぐ R に直せます。進行中の足で損切り価格に触れてから戻ることもあるので、損切りを価格が触れた瞬間にするか終値基準にするかも前もって決めておきます。終値基準なら損失は −1R より大きくなることがあります。

  • ① 今回の取引で失ってもよい金額を数字で書いたか
  • ② 損切りの位置をチャートの構造やボラティリティで説明できるか
  • ③ 数量 = リスク金額 ÷(エントリー価格 − 損切り価格)で計算したか
  • ④ 手数料・スリッページ・窓を足しても耐えられるか
  • ⑤ レバレッジを使うなら、清算価格は損切り価格より遠いか
  • ⑥ 連敗が続くときに同じ大きさを保つかどうか前もって決めたか
  • ⑦ 結果を R で記録する準備ができているか

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